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2020年4月3日北海道新聞夕刊「おばんでした」2019年コラム
終活セミナーの連載も2年目に突入しました。終活の最新情報や現場の声をご紹介します。
3月から6月は手元供養についてです。
「手元供養という選択も」2019.3.20.
2019.6.19. 「終活セミナー 世界に一つだけの納骨」
• 「手元供養ができる骨壺を用意したい」というご要望を受け、セミナーを開きました。
• 火葬したままの状態でも手元供養はできますが、粉骨した場合は従来の骨壺の1/4ほどの量になり、どんな形の器にも収まります。今回は粉骨する設定で、自由な発想で納骨箱を考えることにし、「どんなのもがいいですか?」と問いかけました。
• 「違和感なくリビングに置けるもの。いつも家族を見ていたい」「妻が施設に入ったときにも持って行けるもの」「自分にとって最高の思い出の品を使いたい」「お父さんらしいとみんなに微笑んでもらえるもの」「邪魔にならず、あとの始末に負担がないもの」と、実に様々な意見が出てきました。
• 以前は、死後は黙ってお墓や納骨堂で眠るしかないと思われていました。お墓離れの風潮が生まれてからは、「死んだらわからないからどこかに捨ててくれ」と言う男性が少なくありませんでした。それから見ると、自分のことは最後まで自分で決めたいという人が多くなってきたことを痛感します。
• 樹木葬も人気ですが、積極的に樹木葬墓地整備を目指している地域もあれば、反対に、
•散骨を条例で規制した自治体もあります。埼玉県越生町では公営墓地の一部に樹木葬区画を作り、全国の注目を集めています。
• 地方では、過疎化や公営墓地の墓じまいが進む一方です。先を考えると、北海道の山林を活用する自然葬は、地方の存続や活性化に、
•また環境の維持に役立てることが可能でしょう。また、北海道の自然にあこがれる都会の需要を呼び込む可能性もあり、今後の展開が注目されます。バブル時代に仕事で成功を収めた男性は、頻繁に海外旅行をしたそうで、その記念のブランデーの瓶を選びました。バブル時代を知っている人なら誰もが懐かしい品でしょう。
数年前に定年退職した男性は、焼酎の空き瓶を選びました。退職のお祝いの品で、子ども達が贈ってくれた稀少で高級な焼酎です。
母の日に息子夫婦から贈られたプリザードフラワーを使いたい女性は、ガラスの瓶を付けました。ラッピングの袋も保存していたのでそれで覆い、孫からのメッセージカードを貼りました。もっとすごい物をもらったら作りかえるわ、と笑いました。
手元供養で注意すべき点は、「火葬(埋葬)許可証」をしっかり保管しておくことです。のちに合祀したり散骨したりする時に必要になります。他に規制はありません。
冬の間、雪に覆われていた墓地も、春彼岸を迎えました。昨年の胆振東部地震で損壊した多くの墓では、雪解けを待って修復や撤去の工事が始まることでしょう。しかし、自宅も被害を受けた方は、お墓のことまで考えられない状態ではないでしょうか。また、継承者がいない方の多くは、壊れたお墓をどうしたらよいかお困りだと聞きました。新規建立より墓じまいの数が上回る墓地もあり、埋葬の形が多様化する中で、選べるからこその迷いも生じます。墓に対する意識の変化があまりに急激なため、流れに乗って後悔しないかとの心配もあり、悩ましいところです。
「墓地、埋葬等に関する法律」によって、埋葬には色々な規制がありますが、埋葬しない限り、供養を目的とする遺骨の取り扱いは自由です。遺骨は墓、納骨堂、合葬墓におさめるしかないと思われがちでしたが、近年人気の樹木葬や散骨に加え、自宅に置いたり、アクセサリーにして身につけるなどの「手元供養」が新たに注目されてきました。
意匠を凝らした骨壺や収納ケース、小さな自宅墓、遺骨の一部を納めるあくせさりー仏壇ならぬ「供養箱」など、様々な手元供養品が登場しています。
散骨や手元供養は、遺骨をパウダー(粉末)化することが、これまでと大きく違う点です。
以前は遺骨の粉砕に抵抗があるとされましたが、が、最近は変わり果てた姿(遺骨)を残すよりきれいなパウダー外衣という人が女性を中心に増えてきました。
パウダーにした遺骨は、新しい供養の形と言うだけでなく、従来の墓や合祀墓、納骨堂への納骨においても
①かさばらないので収蔵数を増やせる
②土に還るのが早い
③カビや虫で傷む事が少ない
④見た目に優しい
などのメリットがあります。手元供養品に収納すれば、好みの形で身近に置けていつでも供養ができます。その後に合葬や散骨するとか、一部を手元に残しあとは墓に入れるなど、従来の形と組み合わせることもできます。
損壊した墓に残された遺骨も取り出してパウダーにし、小さく衛生的に保管すれば、これからの方策をゆっくり考えることができます。墓じまいや高額な修理を急がずに個々に望む供養の形を探すのもいいかもしれません。
2019年4月21日付
「故人らしさを追求して」ご遺骨を自宅などに置く手元供養が、注目を集めてきました。一口に「手元供養」と言ってもその手法は実に多種多様です。
永六輔さんは生前、娘さんに「僕が骨壺になったら昌子(亡妻)との間に本を並べてブックエンドにしてね」とおっしゃったそうです。少し前なら、突拍子もない希望と思われたでしょうが、今では簡単に叶えられます。そもそも、現代のように石碑でお墓を建立するようになったのは、江戸時代中期と言われています。それも、一部の権力者や富裕層だけで、庶民の多くは河原で拾ってきた石や木製の札を墓標にしていました。誰もが今のようなお墓を建てるようになったのは戦後の高度経済成長時代を経てからのことで、さほど古い事ではありません。
これまでも、時の為政者の方針のもと、経済状態、家族形態、生死観などが変化し、それに伴い、墓や供養の形は変遷を続けてきたのです。
現在の法律では、埋葬さえしなければ自宅保管に規制はなく、形、期間ともに自由に決められます。「罰があたらないのか」というご相談も受けましたが、供養を目的として、故人らしい、自分らしい形を選択するだけですから、心配不要でしょう。
手元供養には、墓も仏壇も不要とする自宅墓や、従来の墓や合同墓、仏壇と組み合わせる方法とがあります。
散骨などでは粉骨が絶対条件ですが、手元供養の場合は、火葬後の状態のままの方法もありますし、粉骨してバリエーション豊かな供養箱や容器に収めることができます。
粉骨は遺族でもできますが、納棺、火葬と同様に精神的負担になる作業ですので、業者に依頼するのがよいでしょう。お墓に埋葬されていたご遺骨を手元供養にする場合は、先に、乾燥させる必要があります。
業者の元に行けない場合、取りに来てもらう事もできますが、乾燥している遺骨であれば、業者宛にゆうパックで送ることもできます。費用は、粉骨自体は2~3万円で、収める容器は、安価なものから高価なものまで、様々ですので予算に合わせて選ぶとよいでしょう。粉骨した場合は特に、分骨がたやすくなりますから、遺骨を持ちたい人がそれぞれに容器を選ぶことが可能です。手元供養をする場合は、最終的な納骨先を考えておかなくてはなりません。家族が納得するだけ供養した後ですので、業者に依頼して散骨するとか、遠い故郷の墓や、自治体の合同墓も選択肢になるでしょう。
2019年5月22日
「供養箱 お墓と仏壇を兼ねる」最近、仏具のカタログに「供養箱」なるものが掲載されています。一見するとカジュアルな仏壇の様ですが、仏壇ではありません。
供養箱と仏壇の大きな違いは、祀る対象が本尊様か故人か、という点です。仏壇には必ず宗派に合わせて、阿弥陀如来、釈迦如来、大日如来などの本尊の像や掛け軸が中央に祀られています。そして宗派ごとに決められた仏具が並べられます。仏壇は本尊を祀るものなので遺影は仏壇の中に置いてはいけない、というお寺さんもいます。
それに対し、供養箱は故人を中心に祀ります。遺影を中央に置くことが多く、故人や遺族の好みを重視し自由に飾り付けされます。 さらに最近は、供養箱に、分骨や粉骨した遺骨を収めるタイプもあります。
その供養箱一つで、従来の仏壇と、お墓や納骨堂の機能の両方を兼ね合わせることができます。お墓と仏壇が一つで済むのですから、費用が抑えられ、遠方まで墓参りに行く必要もありません。宗教にも家にも縛られない、新しい供養の形の一つです。
私たちが子どもの頃は、葬儀はお寺で行われるのが一般的でした。殆どの家はどこかの檀家になっており、葬儀は寺の本堂で行われ、立派な本尊様の前に祭壇がありました。後に、会場が葬儀会社のホールになると、本尊が掛け軸になり、その掛け軸もだんだん小さくなり、大きな遺影が中央に置かれた祭壇が普通になりました。
最近では仏教色が全く無い祭壇も多くなりましたが、それでもまだ、9割の葬儀は仏式で行われ、僧侶を依頼します。
しかし、その僧侶も変化し、近年「派遣僧侶」「お坊さん便」と呼ばれるものが流行っています。ネットや電話でで葬儀や法要に僧侶を頼めるサービスです。「マンション坊主」とも呼ばれる、寺院を持たない僧侶は都会に多く、派遣サービスで生計を立てています。
家庭内での宗教形骸化が進む中、こうした需要は増えつづけているようです。私たちが子どもの頃は、葬儀はお寺で行われるのが一般的でした。殆どの家はどこかの檀家になっており、葬儀は寺の本堂で行われ、立派な本尊様の前に祭壇がありました。後に、会場が葬儀会社のホールになると、本尊が掛け軸になり、その掛け軸もだんだん小さくなり、大きな遺影が中央に置かれた祭壇が普通になりました。
最近では仏教色が全く無い祭壇も多くなりましたが、それでもまだ、9割の葬儀は仏式で行われ、僧侶を依頼します。
しかし、その僧侶も変化し、近年「派遣僧侶」「お坊さん便」と呼ばれるものが流行っています。ネットや電話でで葬儀や法要に僧侶を頼めるサービスです。「マンション坊主」とも呼ばれる、寺院を持たない僧侶は都会に多く、派遣サービスで生計を立てています。
家庭内での宗教形骸化が進む中、こうした需要は増えつづけているようです。
2019.6.19.
「終活セミナー 世界に一つだけの納骨箱」「手元供養ができる骨壺を用意したい」というご要望を受け、セミナーを開きました。
火葬したままの状態でも手元供養はできますが、粉骨した場合は従来の骨壺の1/4ほどの量になり、どんな形の器にも収まります。今回は粉骨する設定で、自由な発想で納骨箱を考えることにし、「どんなのもがいいですか?」と問いかけました。
「違和感なくリビングに置けるもの。いつも家族を見ていたい」
「妻が施設に入った時にも持って行ける物」
「自分にとって最高の思い出の品を」
「お父さんらしいとみんなに微笑んでもらえるもの」
「邪魔にならず、あとの始末に負担がない物」
と、実に様々な意見が出てきました。
以前は、死後は黙ってお墓や納骨堂で眠るしかないと思われていました。お墓離れの風潮が生まれてからは、「死んだらわからないからどこかに捨ててくれ」と言う男性が少なくありませんでした。
それから見ると、自分のことは最後まで自分で決めたいという人が多くなってきたことを痛感します。バブル時代に仕事で成功を収めた男性は、頻繁に海外旅行をしたそうで、その記念のブランデーの瓶を選びました。バブル時代を知っている人なら誰もが懐かしい品でしょう。
数年前に定年退職した男性は、焼酎の空き瓶を選びました。退職のお祝いの品で、子ども達が贈ってくれた稀少で高級な焼酎です。
母の日に息子夫婦から贈られたプリザードフラワーを使いたい女性は、ガラスの瓶を付けました。ラッピングの袋も保存していたのでそれで覆い、孫からのメッセージカードを貼りました。
「もっとすごい物をもらったら作りかえるわ」と笑いました。手元供養で注意すべき点は、火葬(埋葬)許可証をしっかり保管しておくことです。
のちに合祀したり散骨したりする時に必要になります。他に規制はありません。樹木葬も人気ですが、積極的に樹木葬墓地整備を目指している地域もあれば、反対に、散骨を条例で規制した自治体もあります。埼玉県越生町では公営墓地の一部に樹木葬区画を作り、全国の注目を集めています。
地方では、過疎化や公営墓地の墓じまいが進む一方です。先を考えると、北海道の山林を活用する自然葬は、地方の存続や活性化に、また環境の維持に役立てることが可能でしょう。また、北海道の自然にあこがれる都会の需要を呼び込む可能性もあり、今後の展開が注目されます。